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[再会/再開]の会話は
「ねえおばさんの写真ないの写真」 日曜の朝っぱらから乗り込んできた彼女が屈託無く笑う。仕方なく、コルクボードにピンで刺した封筒からそれを取り出す。「あたしも写ってるじゃん。しかもおばさんちっさ! こんな古いのじゃなくてさ」 ワザとおっきく溜め息ついて、写真を取り上げた。「これ、おじさんがくれたんだよ。そっちの引越のあと、ウチ全部焼けちゃったからさ。その頃なら転送されたのに」「え、まじで…」「賞金半...
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【300字SS】冬になったら思いだして
お湯をしっかり沸騰させて、たっぷり空気を含ませる。 小さめの湯飲みに注いで、待って、空の急須に移す。湯飲みは冷まさないように、また熱湯を注いでおく。 湯冷ましにも上から、空気を含ませるため、少し上から注ぐ。急須と湯冷ましで練るように繰り返すとお湯は柔らかく、口に含んでも火傷しない温度に落ち着く。これを浅蒸しの、急須に敷いた茶葉(ちゃよう)の上にゆっくりと落とす。揺らさぬように、そおっと、待つ。 君...
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【300字SS】スープで満たして、溺れるほど。
コンソメスープ味がマイナーだとは知らなかった。 よそで見るのはトマトベースにケチャップ、こってりホワイトソース。ナイフとフォーク。そうじゃない。 大きめに握った長ネギ生姜豚挽き肉のタネをくったりキャベツで巻いて、たっぷりのお湯にブイヨン放り込んでぐつぐつ。長時間煮ちゃ駄目。旨味が全部でてしまう。お塩で整えて出来上がり。お箸片手に、お茶碗の白飯にスープをちょっとずつかけて、最後に流し込むのも背徳感...
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【300字SS】兼業お母さんを休んだ日
お姉ちゃんのご飯は茶色すぎてヤダ。 妹はそう言ってサンドウィッチを買ってきたりパスタをチンしたり、いつも勝手。おばあちゃんは「洋食屋さん」物ならまだしも、パンやパスタじゃ納得してくれないし、お父さんはとにかく肉だし、みんな勝手過ぎる。もう厭。 そんな気持ちがでたのかも。思わぬ発熱で学校を休むはめになった。布団で唸っていたら、ふすまが薄く開いた。「お姉ちゃん、おかゆ、買ってきた。食べられる?」 買...
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【300字SS】高度に横滑りした仲良しはBLと見分けがつかない
「毎度ー弁当半分くれ。これ貢ぎ物」「焼きそばパンと引き替えじゃコスパ悪くね?」「俺は一日一食くらいうまいメシが食いたいの! なんだよ主婦歴20年のメシマズて。くーこの普通の卵焼き! いいよなお前んちはー」「自分で作れば? 桜ちゃんがキラキラまなこで『お兄ちゃんすごいおいしい!』」「ううっ、でも料理なんてなあ……」「作ってきたら添削してやる」「添削」「食えばなにミスしたかわかる」「まじかよ嘘くせえ」「実...
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