魂葬屋奇譚
2008年05月20日 公開

九条菜月「魂葬屋奇譚」シリーズ。4冊まとめて読了。(まだ続くよ)
魂葬屋とは、人が死んだ後、本来は自力であの世へ行く魂が、
突然の死(交通事故とか)で壊れてしまい還れなくなってしまったものを、
欠片をあつめて修復し天へ還すという仕事のこと。
この仕事に巻き込まれるのが
本作主人公のたまたま魂葬屋が見えてしまった無関心マイウェイ深波。
かなりはしょってしかも専門用語を避けて説明。
わりとありがちな設定でしょ?ラノベっぽくて。
でもラノベに比べると格段に落ち着いてるんだよねノベルズって。
(まあ全部がこの分類に当てはまるわけじゃないです)
この作家については、
デビュー作の「オルデンベルグ探偵事務所録」シリーズが気に入って読み始めました。
オンデンベルグは設定が(ありがちな)人外さんたちが人間社会に紛れて暮らすお話で、
1冊目が人狼、2冊目が吸血鬼のお話なんです。そんでこの2冊目が大変秀逸なんです。
まず主人公が1冊目と違うことで驚かされ、
あー事務所の面々をエピソードを変えてやってくのか、そうだ事務所録だもんなと納得した後、
オチに驚かされました。
ああー、あちこちに散らばる矛盾はそのせいか!ってなもんですよ。
さて、どちらもありがちな設定ながら、見せ方がうまいのかな、
お話として飽きさせずきちんと畳める力もあります。
魂葬屋も安心して読めました。
特に深波の性格がいいんです。巻き込まれ型でも信念は有り。
納得して巻き込まれるから振り回されたりしない。
でも自分の信念は人に押しつけたりしない。正義を振りかざしたりしない。
登場人物のワケありなしゃべり方とか、作者のスタンスとか、
気になる点がないわけじゃないけど、気持ちよく読めますよ。
次作も魂葬屋。
でもオルデンベルグも読みたいんだけどなー。